有機エレクトロニクス

有機エレクトロニクスは、有機ポリマーや低分子材料を使用して、多くの新しい応用分野に向けた電子部品を作製します。有機エレクトロニクス材料は、従来のシリコン系無機材料と比較して、軽量で、柔軟性に富み、安価です。有機エレクトロニクスは、製造、使用、廃棄におけるエネルギー効率が高く、資源に配慮した技術です。
低分子有機エレクトロニクスは、通常、真空蒸着法を用いて、有機材料薄膜を基板表面に成膜することで作製されます。有機エレクトロニクスは、低コストの溶液処理法を用いて、導電性ポリマーから作製することも可能です。半導体ポリマーを可溶化してインクにすることで、電子回路をプラスチックシートに直接印刷できるようになります。これらの材料は、大面積のロール・ツー・ロール製造プロセスに対応しており、容易にスケールアップして低コストで迅速に製造することができます。
注目のカテゴリー
レーザー、赤外、近赤外、化学発光、フォトクロミック、サーモクロミック、フタロシアニン、ポルフィリンなどの色素や、フォトルミネセンス、非線形光学および導波路材料をはじめとする、フォトニック・光学材料の包括的な製品群があります。
有機EL(OLEDs)
有機EL(OLED:organic light-emitting diode)は、正孔を注入する正に帯電した陽極と、電子を注入する負に帯電した負極と、異なる電荷キャリアが半導体発光層に流れ込むことを可能にする輸送層に挟まれた半導体発光層などから構成されるエレクトロルミネッセンス素子です。電極で注入された電荷が有機層で再結合する際に光が直接発生します。有機ELは、発色性に優れた高輝度の光を生成し、ディスプレイのコントラストを向上させます。有機材料の利用により、薄くて高い柔軟性のデバイスを作製できることから、有機ELは曲面モニター、折りたたみ型、巻取り型の携帯デバイス、ウェアラブルデバイスに使用することが可能です。
有機電界効果トランジスタ (OFETs)と有機薄膜トランジスタ (OTFTs)
有機トランジスタは、高性能電子機器のフレキシブルな集積回路やディスプレイの基本的な構成要素です。 トランジスタの特徴の一つにスイッチング作用があります。ソースおよびドレイン電極は有機半導体と直接接触し、ゲート電極は、誘電絶縁体によって半導体から分離されています。ゲートに電圧が印加されると、半導体の導電性が変化し、ソースとドレイン間の電流をON・OFFします。有機トランジスタの場合、導電体(電極)および半導体(活性チャネル材料)から絶縁体(ゲート絶縁層)までの、すべての要素が有機材料で構成されます。薄膜トランジスタとは、電界効果トランジスタの一種で、半導体層、電極層、誘電体層を基板上に薄膜として堆積したものです。一般的なエレクトロニクス用途として、RFIDタグや電子ペーパーなどがあります。
有機太陽電池 (OPVs)
有機エレクトロニクス材料は、太陽電池パネルで光を電気に変換するためのドナーおよびアクセプター材料として使用することも可能です。有機太陽電池では、2つの電極の間に半導体有機材料の光活性層を挟み込み、光電流が生成します。太陽光の光子束を吸収するのはドナーであるため、ドナー材料は太陽光スペクトルに適した広い光吸収特性が求められます。ペロブスカイト太陽電池に使用される有機ホール輸送材料(HTM:hole-transport material)は、電荷輸送を最大化し、エネルギー変換効率を向上させます。
関連資料
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- 安定かつ高効率の非ドープ型有機ELを作製するために、多数の凝集誘起発光性(AIE)材料が開発されています。これら素子の発光色は可視光の全領域にわたっており、高性能白色有機ELの作製にも成功しています。
- DNTTおよび関連有機半導体を用いた有機電界効果トランジスタについて、理化学研究所の瀧宮和男先生に解説していただきました。
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関連プロトコル
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