コンテンツへスキップ
Merck
ホームApplications医薬品・バイオ医薬品製造モノクローナル抗体製造mAbのダウンストリームプロセス

mAbのダウンストリームプロセス

効率的なダウンストリームプロセスによって、コストを抑えながら、mAb製造を加速できます。

モノクローナル抗体(mAb)の製造プロセスにおけるダウンストリームステップの最適化は、製品の品質、収量、無菌性の保証にとって極めて重要です。すべてのステップを最大限に活用できるかどうかは、各プロセスによって異なるニーズに適した幅広い製品、サービス、ソリューションに依存します。 

前処理したフィードストリームによる清澄化の加速

アップストリームプロセスをより効率的にすることで、高密度の細胞および抗体力価を達成できるようになります。この高い効率性のアップストリームにより、製品および不純物の濃度が高くなり、このことで精製において新たな課題が生じます。細胞ハーベストや清澄化は分離効率を向上させるために、フィード液の凝集やノーマルフロー、タンジェンシャルフロー、デプスフィルターなどの様々なろ過方法を用いて発展してきました。その目的は、バイオ製造コストを最小限に抑えながら、プロセス容量およびろ過品質を上げることです。

例えば、凝集沈殿剤とデプスろ過によるフィードの前処理は、高密度の培養細胞のハーベストに有効な清澄化ソリューションです。またこの前処理は、現行のプラットフォームに簡単に統合できます。凝集沈殿剤は細胞および細胞残渣を凝集して、溶液内で大きな粒子にする結合因子として作用します。高密度培養細胞のハーベストに特化した一次清澄化フィルターが現在利用できます。これでは良好な吸着能を維持しながら、厚みを利用したふるい分けによって、大きな粒子が除去されます。


ワークフロー

モノクローナル抗体の製造

モノクローナル抗体の製造

mAbの製造プロセスの理解が深まれば、アップストリームおよびダウンストリームの両プロセスが効率化され、製造における進歩につながります。

アップストリーム

アップストリームプロセスは細胞株の開発から始まり、セルハーベストまでのすべてのステップが含まれます。この最終目標は、細胞密度および産物の力価を高めて、mAbの製造を最大限にすることです。 

最終ろ過と充填

製剤の最終充填は、無菌性、完全性、清浄度、作業時の安全性および効率性に関する厳密な要件に適合しなければなりません。

ウイルス安全性

「予防、検出、除去」の原則に基づき、ウイルスの安全性とは、注意深い原材料の選定、原材料およびプロセス中間体の広範な検査、およびダウンストリームプロセスにおけるウイルス低減ステップの実施と、リスク分析を組み合わせることです。

バイオバーデンの管理

すべてのmAb製造プロセスには微生物の混入汚染のリスクがあります。これには、リスクを低減する管理戦略を伴うプロセス設計、ならびにプロセス管理を保証するバイオバーデンのモニタリングが必要です。

凝集体の除去

mAb製造では、アップストリームとダウンストリーム全体を通して、タンパク質の凝集が問題となります。そこでこの管理が、プロセスの効率性および堅牢性を最大限にすることにおいて重要です。


シングルパスのタンジェンシャルフローろ過(TFF)および陰イオン交換クロマトグラフィーによるmAbポリッシングの強化

mAbのダウンストリーム精製プロセスでは、最後の不純物吸着ステップとしてフロースルーの陰イオン交換(AEX)樹脂の使用が一般的です。しかし、この従来型のポリッシングステップは大きなカラムと長い処理時間のため、プロセスのボトルネックになることがありました。そこで新たなソリューションによる利点を取り入れるメーカーが多くなっています。それはAEXクロマトグラフィーにインラインのシングルパスタンジェントフローろ過(SPTFF)を接続することで、AEXカラムの前にmAbフィードを事前濃縮するものです。このアプローチは、不純物の宿主細胞タンパク質(HCP)に対するAEX樹脂の容量を改善し、AEXポリッシングステップでのボトルネックを最小化します。

クロマトグラフィーメンブレンを用いた精製効率の向上

一般に従来型の精製技術では、プロセス設計においてトレードオフが必要となります。例えば、樹脂ベースのクロマトグラフィーカラムは、処理量が限られるためサイズが大きいことが多く、フレキシブルな製造との適合性は低くなります。従来型のメンブレン吸着体は、処理速度は速いのですが、その低い結合容量により、プロセスの十分な堅牢性が得られない可能性があります。

これらの限界に打ち勝つため、新世代の高容量、高処理量のAEXクロマトグラフィーメンブレンが開発されました。シングルユースの即時使用でき、高い結合容量と速い流速を合わせもっています。この精製用の新たな選択肢によって、より生産性の高い、フレキシブルかつ堅牢なプロセス設計が可能となります。

濃度上昇と関連する高粘度フィードの取扱い

点滴治療から皮下注射に代えることで、患者の快適さおよび満足度が上がります。以下は、このようなソリューション開発における課題です。

  • より高濃度の薬剤の送達
  • 高品質の処方緩衝液を用いた、効率的な限外ろ過プロセスの設計
  • 複数のTFFシステムにより粘度による制限を克服

高粘度用に設計されたTFFカセットによって、現行システムやポンプの変更なく、薬剤を濃縮できます。 
高濃度タンパク質溶液の粘性を低下させる添加剤を組み合わせて使用することで、TFF時のプロセスに関する経済的問題を改善できる可能性があります。最終的には、これによって標準的なシリンジで投与可能な最終濃度が高いタンパク質を製造することができます。

TFFカセットの再使用と保管の最適化

TFFカセットの再使用、寿命と保管に関する適格性評価は、あらゆる製造プロセスの最適化および適格性評価において重要です。TFFカセットの保管と再使用に関する要件およびリスクの理解は、包括的なバリデーション計画の作成、製品リコール、工場のシャットダウンといった潜在的リスクの低減にとって非常に重要です。

クロマトグラフィー樹脂の寿命を延ばす洗浄の最適化

クロマトグラフィー樹脂は、モノクローナル抗体の製造コストに大きく影響します。プロセスの経済性を向上させ、樹脂の寿命を最大限に延ばすため、再使用前には効果的に樹脂を洗浄し、詰まらせる原因を取り除くべきです。

従来型のラボスケールの実験による、何回もの樹脂の洗浄手順の最適化には多大な時間がかかり、また、大量のサンプルが必要となります。しかし、小型化した高処理スクリーニングツールを樹脂の洗浄手順の最適化に使用できるようになりました。小スケールでの試験によって、結果が得られるまでの時間が短縮されながら、フィード材料および必要な緩衝液の量は最小限で済みます。


関連製品資料





ログインして続行

続きを確認するには、ログインするか、新規登録が必要です。

アカウントをお持ちではありませんか?