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ホームエアーモニタリングDNPHカートリッジと自動化オンライン脱着後にHPLCを利用した空気中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの定量

DNPHカートリッジと自動化オンライン脱着後にHPLCを利用した空気中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの定量

Dan Carrier

Anatune Ltd, Girton, Cambridge, UK

US Reporter Volume 30.3

はじめに

2, 4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)含有カートリッジに空気を通すことで空気中のアルデヒドとケトンを捕集します。カルボニル化合物はDNPHと反応してヒドラゾンを形成し、カートリッジに固定化されます。これらの化合物はアセトニトリルで容易にカートリッジから溶出するので、UV検出機能付きHPLCで分析できます。従来、この検査を伴う分析には一連の手動ステップが必要で、時間がかかるとともに実験誤差の原因になっていました。

方法

この研究では、検査に必要な量の空気をSupelco® LpDNPH S10カートリッジに通します。マニュアルの脱着プロセスは以下のとおりです。カートリッジをそれぞれ真空マニホールドの中に入れ、誘導体化したアルデヒドまたはケトンをアセトニトリルでカートリッジから溶出します。抽出物を5 mLのメスフラスコに取り、5 mLに到達したところでアセトニトリルの流れを止めます。これは、目視でメニスカスの上端が5 mL線に到達したのを確認します。捕集した体積によって誘導体の濃度が決まるので、捕集した抽出物の体積が極めて重要です。その後、抽出物を振とうして溶液を十分に混合し、次いで0.2ミクロンのPTFEフィルターでろ過します。この溶液の一部をピペットでバイアルに分取し、UV検出によるHPLC分析を行います。

この方法を自動化するには、 DNPHカートリッジと GERSTEL® MultiPurpose Sampler(MPS)のヘッドに取り付けられたシリンジからの注入針との間に、適したシールが必要です。これにより、カートリッジを介した溶媒の移送が可能になります。図1 に、シーリングユニット(移送アダプター)と0.2ミクロンのフィルターが付いたDNPHカートリッジの写真を示します。これまでの実験作業から、カートリッジに5.6 mLのアセトニトリルを流せば5 mLの抽出物が得られることがわかっています。5 mLの抽出物が得られ、残りのアセトニトリルはカートリッジに残留します。図2 にDNPHプロセスを自動化するために用いた装置を示します。本自動化法の開発に当たり、20回のさまざまな自動抽出でアセトニトリルを捕集したところ、アセトニトリル抽出物の捕集量の精度は、5 mLの抽出物に対して1.5%の相対標準偏差と算出されました。

シーリングユニット付きDNPHカートリッジ

図1.シーリングユニット付きDNPHカートリッジ

Anatune™ 300装置

図2.Anatune™ 300装置

空気中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを、独自の方法で種々のDNPHカートリッジ上に捕集しました。移送アダプターとフィルターをカートリッジに取り付け、Anatune™ 300ユニット上に設置しました。その後、カートリッジを分析しました。誘導体化したホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの濃度は、外部標準(Supelco®製T011/IP-6A Aldehyde/Ketone-DNPH Mix)を用いて自動システムで定量しました。

DNPHカートリッジを空の10 mLバイアルに合わせ、MPSヘッド上の5 mLのシリンジを使って、5.6 mLのアセトニトリルをカートリッジに流します。追加の空気をカートリッジに通して押し出し、得られる抽出物の量を最大化します。次いで抽出物を混合し、冷却トレイ内に設置した2 mLの密封HPLCバイアルに抽出物のアリコート1 mLを1 mLのシリンジを用いて分取します。次いで抽出物をHPLCに注入します。LCは、AscentisExpress C18、5 cm x 内径4.6 mmのカラムを用います。グラジエントは30:70アセトニトリル:水(v/v)からスタートし、95:05アセトニトリル:水(v/v)、UV検出は365 nmです。本法の詳細を表1に示します。MAESTROソフトウェアのPrep-Ahead機能により、自動化した試料調製を12.5分間のHPLC作動時間に組み込むことが可能です。

表1.HPLC条件

HPLC分析を含む最大64の抽出を自動化できます。4ºCに設定した冷却トレイにより、必要に応じて、試料および標準液の再注入ができるようになっています。図2に、使用した装置とその組み合わせ方法の写真を示します。図3に、自動化DNPHユニット(Anatune™ 300)の拡大写真を示します。

自動化DNPHユニット(Anatune™ 300)の拡大写真

図3.自動化DNPHユニット(Anatune™ 300)の拡大写真

結果

図4に、例として0.075 ppmのホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの標準品のクロマトグラムを示します。ホルムアルデヒドは3.7分、アセトアルデヒドは5.3分に溶出します。5 ppmの標準液を6回繰り返して注入したところ、ホルムアルデヒドで1.2%、アセトアルデヒドで1.3%の相対標準偏差が得られました。試料中のホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの濃度はマニュアル法と一致しました。図5に、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとを含む試料のクロマトグラムの例を示します。表2に、自動化プロセスを使ってサンプリングした5つの異なるDNPHカートリッジからのホルムアルデヒドとアセトアルデヒドを測定した結果を示します。濃度は、0.075 ppmのホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの外部標準を注入して計算しました。

0.075 ppmのホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの標準物品

図4.0.075 ppmのホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの標準品

ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドを含む試料のクロマトグラムの例

図5.ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドを含む試料のクロマトグラムの例

表2.方法のセクションに記載されている自動化プロセスを用いて得られたホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの試料の結果

結論

LpDNPH S10カートリッジの抽出を自動化し、それをHPLC分析にインライン接合すればこの技法に必要なマニュアル作業が著しく減り、作業者による実験誤差の可能性が減って方法の再現性が改善されます。この方法の自動化および無人操作により、空気中のホルムアルデヒドとアセトアルデヒドを測定するためのハイスループットが実現します

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