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ドーパミン、ノルエピネフリンおよびエピネフリンの合成

フェニルアラニンは必須アミノ酸であり、主に肝臓でフェニルアラニンヒドロキシラーゼによってチロシンに変換されます。食事中のタンパク質やフェニルアラニン代謝に由来するチロシンは、血中に取り込まれ、低親和性アミノ酸輸送系によって脳に取り込まれます。脳細胞外液中のチロシンは、高親和性および低親和性のアミノ酸トランスポーターによってカテコールアミンニューロンに取り込まれます。チロシンとフェニルアラニンは、脳への輸送とニューロンへの輸送において競合するため、これらのアミノ酸の相対的血中濃度は中枢神経のカテコールアミンの代謝に影響する可能性があります。フェニルケトン尿症では、フェニルアラニン欠乏のため、フェニルアラニンからチロシンへの変換が正常に行われません。そのため、このような状態では血中および脳細胞外液中のフェニルアラニン濃度が上昇します。フェニルアラニンは、チロシンヒドロキシラーゼに対して比較的弱い基質ですが、高濃度で存在すると、チロシンヒドロキシラーゼによるチロシンの水酸化を阻害します。

チロシンからジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)への変換は、細胞質内のチロシンヒドロキシラーゼにより触媒されています。この変換は、通常、カテコールアミンの生合成における律速段階であるため、この酵素の薬理学的遮断は、カテコールアミン合成に大きな影響を及ぼします。しかし、特定の薬理学的または病理学的状況では、どの反応も律速段階になりえます。チロシンヒドロキシラーゼには比較的高い基質特異性があります。チロシンの利用可能量は、通常、in vivoにおいてチロシン水酸化の速度に影響しませんが、ニューロン系が活性化されていたり、高い基礎発火率を有する(例:前頭前野の中央部のドーパミンニューロン)と、チロシン濃度がL-DOPAへの変換速度を変化させる可能性があります。インパルス流量の増加によって、チロシンヒドロキシラーゼの短期な活性化が生じる可能性があります。これは、プロテインキナーゼによる調節領域のリン酸化が関与していると考えられ、プテリン補因子に対して低いKmを有し、カテコールアミンに対して高いKiを有する活性型のチロシンヒドロキシラーゼを生成すると考えられます(フィードバック阻害)。さらに、自己受容体の活性化または遮断によっても、チロシン水酸化の速度は変化する可能性があります。霊長類では、選択的mRNAスプライシングによって、単一の一次転写物から多様なチロシンヒドロキシラーゼmRNAが生成されます。げっ歯類ではそのようなことは起こりません。チロシンヒドロキシラーゼ阻害後のカテコールアミン濃度の減少速度は、代謝回転の指標となります。

芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼは、細胞質でL-DOPAからドーパミンへの変換を触媒しますが、天然に存在するすべての芳香族L-アミノ酸がこの酵素の基質です。この酵素は、L-DOPAから急速にカルボキシル基を除去するため、このアミノ酸は比較的低濃度になっています。酵素に基質を追加供給することで、生産物の形成を増加させることができます。これは、パーキンソン病のL-DOPA治療の基礎になっています。芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼの阻害後におけるDOPAの蓄積は、合成速度の指標になります。

ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼは、ノルエピネフリンニューロンのアミン貯蔵小胞内に存在しています。ドーパミンは能動的に細胞質から小胞に運ばれます。この酵素は銅含有タンパク質であるため、その活性は、ジエチルジチオカルバミン酸やFLA-63のような銅キレート剤によって抑制される可能性があります。この酵素を抑制すると、組織内のノルエピネフリン濃度は効果的に減少します。この酵素の基質特異性は高くありません。

フェニルエタノール-アミン-N-メチルトランスフェラーゼは、主に副腎髄質に限って認められますが、脳のエピネフリンニューロンとの関連で検出可能なレベルです。酵素活性の阻害は、エピネフリン生合成を減少させます。しかし、多くの組織に特異性の低いN-メチル-トランスフェラーゼが認められます。細胞質において可溶性のフェニルエタノールアミン-N-メチル-トランスフェラーゼが存在するかもしれませんが、この酵素がおそらく顆粒膜または小胞膜と結合して、微粒子として存在することを示す十分な証拠があります。

一般的なモジュレーターおよび詳細を以下の表に示します。その他の製品一覧については、後述の
類似製品の項をご参照ください。

略語

CGS19281A:4,9-ジヒドロ-7-メトキシ-3H-ピリド[3,4b]インドール
FLA-63: ビス-(4-メチル-1-ホモピペラジニルチオカルボニル)-ジスルフィド
FLA-57:4-メチル-ホモピペラジン-1-ジチオカルボン酸
LY-134046:8,9-ジクロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2ベンザゼピン
NSD 1015: m-ヒドロキシベンジルヒドラジン
SKF 29661:7-(アミノスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン
SKF 64139:7,8-ジクロロ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン

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