アルブミンとは?
アルブミンは、血清中または血漿中にある最も多い(総タンパク量60%を占める)タンパク質で、浸透圧の調整(血管と組織のコンパ-トメント間での体液移動)において重要な役割を担っています。グロブリンとは異なり、アルブミンは、分子量が比較的小さく、水溶性で、容易に結晶化し、酸性アミノ酸を多く含有します。
アルブミンは、水溶性のため、易水溶性ではない多くのホルモンや医薬品のトランスポーター/担体として働きます。水、Ca2+、Na+およびK+と結合します。また、疎水性クレフトがあるために脂肪酸、ビリルビン、ホルモン、医薬品とも結合します。アルブミンは、脂質の可溶化に使用されたり、ウェスタンブロットやELISA法でのブロッキング剤としても使用されています。さらに、pH調節にも重要な役割を担っています。
アルブミンの分子量は?
アルブミンの分子量は、アルブミンの種類によって異なります。成熟ヒトアルブミンは、585個のアミノ酸から構成され、分子量が66 kDaです。
BSAとは?
ウシ血清アルブミン(BSA)は、さまざまな重要な分子やタンパク質を結合、捕捉および安定化する小型(約66 kDa)の球状アルブミンタンパク質です。細胞培養培地(特に無血清培地)への添加剤として広く使用され、酸化的ダメージからの保護や、脂肪酸やPyridoxalなどの他の培地成分の安定化など、幅広い有益性があります。
メルクのBSA製品は、細胞培養、IHC、ELISA、その他多くのアプリケーションに使用され、また、それらのアプリケーションに関する査読済み論文が発表されています。研究ニーズや製造ニーズのための幅広いBSA製品を提供しています。
アルブミンはどのように生成されるのですか?
アルブミンは、肝臓で肝細胞によって生成され、その後急速に血流に排出され 、肝臓にはごくわずかなアルブミンしか貯蔵されません。ヒトでは、アルブミンは、血漿浸透圧の調節因子として働いており、また、内因性および外因性リガンド(医薬品など)を輸送します。臨床医学では、患者の栄養状態の指標としてヒト血清アルブミンが測定されています。
ヒトアルブミンおよびBSAの構造は?
ヒトアルブミンのアミノ酸配列および構造は確認されています。ヒトアルブミンは、炭水化物を含量しないタンパク質で、34番目の残基に1つの遊離スルフヒドリル基があり、17個の鎖内ジスルフィド結合を有する単一ポリペプチド鎖です。
BSAは、約583個のアミノ酸残基を有し、単一ポリペプチド鎖内に炭水化物を含有しません。pH 5~7では、17個の鎖内ジスルフィド架橋と1つのスルフヒドリル基を含有します。
アルブミンの臨床的意義は?
血中アルブミン値は、さまざまな医学的状態(肝疾患、腎疾患、栄養失調など)の診断に使用されます。血中アルブミン値の低値は、肝障害または腎障害を示し、高値は脱水を示します。
研究分野での一般的なアルブミンの使用例は?
アルブミンは、イムノアッセイで非特異的結合を阻害するブロッキング剤として一般的に使用されています。また、酵素アッセイでの安定剤や、タンパク質定量アッセイの標準タンパク質としても使用されます。
アルブミンはどのように血液浸透圧に影響する?
アルブミンは、血流からの水分の喪失を防ぐことによって血液浸透圧を維持する役割を担っています。これは、アルブミンの極性・荷電アミノ酸残基が水分子を引き寄せることで生じます。
アルブミンの精製方法は?
ウシ血清アルブミンの精製方法およびアプリケーションに関する参考文献
ウシ血清アルブミンの精製方法およびアプリケーションに関する参考文献 |
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ウシ血清アルブミンの製造方法は?
アルブミンの分離・精製は、比較的簡単です。1番目の分離方法の1つに、水分に対する血清の広範な透析と大部分のグロブリンの除去が含まれました。2番目の方法は、低~中濃度の硫酸アンモニウムでアルブミンの溶解性が良好であることを利用し、pHを低下させることで沈殿させました。電気泳動分離、アフィニティクロマトグラフィ-も適用されました。しかし、このような方法のいずれも、大規模生産には適用できませんでした。
最初の分離は、熱処理またはアルコール沈殿法によって達成されます。現在、市販されている製品のほとんどは、E. J. Cohnらによって1940年代に開発されたアルコール沈殿法(「フラクション V」で得られるアルブミン純度は約96%)または熱処理により調製されています。不純物のさらなる除去は、結晶化、調製用電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ-(例えば、ConA-アガロースは、糖タンパク質を除去します)、熱処理(グロブリンを除去)、低pH処理、活性炭処理、有機溶剤沈殿法(すなわち、イソオクタン)および低温処理によって達成できます。活性炭処理および有機溶剤沈殿法では脂肪酸を除去します。
アルブミンは変性する?
はい、アルブミンは、pH、温度およびイオン強度の変化によって変性します。変性によって、アルブミンの機能的特性が損なわれる場合があります。
ウシ血清アルブミンの溶解性
アルブミンは、易水溶性で、高濃度の中性塩類(硫酸アンモニウムなど)によってのみ沈殿します。BSAの溶液安定性は、非常に良好です(特に溶液を凍結分注して貯蔵する場合)。実際に、アルブミンは、他の可溶性タンパク質(例えば、不安定酵素)の安定化剤として汎用されています。しかし、アルブミンは、熱によって速やかに凝集します。アルブミンは、50℃以上まで加熱すると、極めて急速に疎水性の凝集物を形成し、冷却時にモノマーに変換しません。50℃よりも若干低温でも、凝集が生じると考えられますが、その速度は比較的遅いです。
ウシ血清アルブミンの物理的特性
アルブミンは、どのように他の分子と相互作用する?
アルブミンは、脂肪酸、ホルモン、医薬品などのさまざまな分子と結合できます。このアルブミンの結合は、疎水的、静電的な相互作用を介しています。
参考文献
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