2次元電気泳動はどのようなしくみでしょうか?SDS-PAGEなどの1次元タンパク質ゲル電気泳動技術は、ラボで日常的に行われていますが、これらの方法で得られる分離能は低いです。2次元電気泳動(2-DE)は、複雑なサンプル中のタンパク質をpI値や分子量によって分離し、数百または数千のタンパク質を高い分解能で同時に直接比較できるようにします。解析ソフトウェア、免疫検出法、または質量分析技術と組み合わせることにより、2-DEはタンパク質同定やその他のプロテオーム解析に役立つ強力なツールとなります。その他の製品の詳細については、タンパク質電気泳動・ウェスタンブロッティングページをご覧ください。
2次元電気泳動の完全自動化
2次元電気泳動は、一般に操作が難しく時間がかかり、高度なユーザートレーニングを要する一方で再現性が低く、オペレーター間のばらつきが大きいとされてきました。Auto2D®システムは、2次元電気泳動を完全に自動化します。アプライしたサンプルは1次元目のゲルに入り、等電点によるタンパク質の分離が行われます。平衡化した後、1次元目のゲルがSDS-PAGEゲルにセットされ、分子量によってタンパク質が分離されます。Auto2D® 2次元電気泳動装置は使いやすく、より迅速に1~2時間で2次元電気泳動が可能となり、再現性の高い結果を出せます。Auto2D® 2次元電気泳動装置のその他の特徴と利点を以下に示します。
- 使いやすく、高度なトレーニングは不要
- 迅速なワークフローによりラボのダウンタイムを削減
- オペレーター間のばらつきを減らして再現性を向上
- GMP適合のためのIQ/OQサポート
Auto2D®2次元電気泳動装置は、2次元電気泳動を完全に自動化し、タンパク質解析を簡単にして、ユーザーに依存しない一貫性と再現性に優れた結果を提供します。Auto2D®システムの効率的な技術により、サンプルロード、等電点電気泳動、平衡化、およびSDS-PAGEにかかる時間を、4~24時間からわずか1~2時間へと大幅に短縮します。この特徴によりAuto2D®は、市販されている他の半自動2次元電気泳動システムとは一線を画します。
図1.Auto2D®によって自動化された2次元電気泳動のワークフローとステップ
図2.左:がんバイオマーカー研究のための培養細胞におけるタンパク質発現差異解析。緑色は正常細胞でより豊富なタンパク質を示す。赤色はがんに特異的なタンパク質スポットを示す。黄色はタンパク質発現の重複を示す。右:血漿サンプル中のタンパク質発現差異。
図3.左:治療用抗体製剤の微小不均一性の評価。赤色の三角はターゲット抗体のスポットを示し、下にあるスポットは領域欠損のある抗体。右:精製前後のタンパク質解析。2-DEは、結晶化およびX線構造解析に用いるサンプルが均質かどうかを確認するために使用できる。
図4.小麦の抽出タンパク質のSDS-PAGE(SYPRO Rubyにより検出)(A) 、WB:Anti-Gliadin antibody (B) 、およびマージ(C)。小麦の抽出タンパク質(SYPRO Rubyにより検出)、矢印はAnti-Gliadin antibodyによって検出されたスポットを示す(D)。WB: Anti-Gliadin antibody(E)、およびマージ(F)。
Auto2D® 2次元電気泳動装置を用いた食物アレルギー検査
世界的にアレルギーに罹患する人の数が増加の一途をたどっていることから、特に食品由来のアレルゲンを検出・特定することの重要性は増しています。2次元電気泳動(2D-E)は、伝統的にアレルゲンタンパク質の免疫検出に必要な高分解能のタンパク質分離に用いられています。しかし、この伝統的な分離プロセスは時間がかかり、技術的に難しい場合が多いです。メルクのAuto2D®システムは、1~2時間での完全自動化2次元電気泳動が可能であり、再現性の高い結果を迅速に出せます。今回は、メルクのAuto2D®システムがさまざまな由来のアレルゲンタンパク質の特定に適していることを説明します。
アレルギーは世界共通の健康問題であり、3大アレルゲンとしては食品(推定で世界人口の約4%)、医薬品(推定約10%)、植物の花粉(推定10~30%でさらに増加中)があげられています1-3。アレルギー反応はIgEに介在される免疫反応により誘発され、これまで皮膚プリックテストで検査を行っていましたが、アレルゲン検査や診断は分子学的アプローチ法でも達成できます1。特定のアレルゲンに対するIgEを検出・定量するために用いられる手法としては、放射アレルゲン吸着試験(RAST)および酵素免疫吸着測定法(ELISA)の2つがあります。RASTおよびELISAにはタンパク質分離ステップはないため、抗体と食品基質成分との交差反応性により偽陽性の結果が得られることがあります1。
ゲル電気泳動は、一般的で広く用いられているタンパク質分離法です。標準的な1次元電気泳動法では、分子量に基づきタンパク質を分離しますが、2次元電気泳動では、等電点(pl)でもタンパク質を分離することによって分解能が高くなっています。この分解能の向上によって、分子量が近いタンパク質、特にアレルゲン性が異なる可能性があるアイソフォームを区別することができるようになりました。Auto2D®による2次元電気泳動技術は、技術的なばらつきも低減され、アレルゲンの特定といったヒトの健康に関わる研究に優れた選択肢となっています4。
2次元電気泳動を用いた食物アレルギー検査
2次元電気泳動技術とその後の免疫検出は、さまざまな由来の多様なアレルゲンタンパク質の特定に用いられてきました。植物の花粉の研究者は、この技術をアカガシワ花粉由来の新規のIgE結合タンパク質を同定し、また1つのアレルゲンタンパク質の複数のアイソフォームを含む天然植物抽出物の臨床的に重要なアレルゲンを確認するために使用しています5,6。2次元電気泳動は、ピーナッツの主要なアレルゲン・ファミリーを深く掘り下げて調査し、さまざまなピーナッツ系統を比較する際に用いられ、また、天然および遺伝子組換えダイズのアレルゲンに差異がないことを確認するためにも用いられました7,8。
今回は、食物由来の4つのアレルゲン(3つの植物[ダイズ、クルミ、ソバ]および1つの動物[イクラ])の検出におけるAuto2D®電気泳動システムの有用性をご紹介します。このシステムを用いて、患者血清を用いた免疫検出による特異的アレルゲンの特定を試み、成功しました。Auto2D®システムを使用し、SDS-PAGEでの1本のバンドを複数の異なるタンパク質スポットに分離しました。これらのスポットはダイズやイクラサンプルの重要な既知のアレルゲンに一致しました。以上の結果から、Auto2D®2次元電気泳動システムは、アレルゲンの特定に使用可能であり、時間と技術的専門知識の必要性を低下させる一方で、品質の高い、信頼性の高い結果が得られます。
Auto2D®2次元電気泳動による食物アレルギー検査の結果
ダイズ抽出物は、2.5 gの市販ダイズを蒸留水25 mLに一晩浸漬し、ミルで粉砕して、ガーゼで絞ったものです。タンパク質濃度は豆乳と同程度でした(約30 μg/μL)。次に、サンプル30 μgをAuto2D®システム、0.5 μLを従来のSDS-PAGEを用いた分析に供しました。Auto2D®システムによる2D-Eでは、IEFチップpH3-10NLを1次元目として、PAGEチップ12.5%を2次元目として選択しました。サンプルは標準的プログラム(pH3-10NL M)を用いて泳動しました。電気泳動後に1D SDS-PAGEおよびAuto2D®ゲル中のタンパク質をクマシーブリリアントブルー色素(CBB)で染色しました。別のサンプルをAuto2D®装置で泳動し、セミドライ式ブロッティングによりImmobilon® Pブロッティングメンブレンに転写しました。免疫検出のため、ブロッティングメンブレンを5% NFDM PBS-T溶液でブロッキングしました。ブロッキング後に、ダイズアレルギー患者の血清(International Bioscience, Inc.)をブロッキング溶液で20倍希釈し、メンブレンに添加し、穏やかに攪拌しながらインキュベートしました。メンブレンをPBS-Tで洗浄後、ブロッキング溶液で希釈したHRP標識二次抗体と反応させ、標準的な化学発光検出を行いました。
図5.ダイズ抽出物の2次元電気泳動分離および患者血清を用いた免疫検出。ダイズタンパク質抽出物をSDS-PAGE(A:15 ug)およびAuto2D®システム(B、C:30 ug)で分離した。IEFチップpH3-10NL、PAGEチップ12.5%およびTris-Glycine試薬キットを使用した。ゲル中の全タンパク質をCBBで染色した(A-1、B)。ダイズアレルギー患者血清を用いて免疫検出を行った(A-2、C)。SDS-PAGEの主バンドに対応して、重要なダイズアレルゲン成分であるGly m 6と考えられるスポットが約18 kDa付近に検出された(赤い矢印)。
追加の抗原サンプルを以下の条件下でそれぞれ調製しました。ソバ粉をジエチルエーテルで脱脂し、coca緩衝液(85 mM NaCl、32.7 mM NaHCO3、42.5 mMフェノール)で処理して、PBSで透析しました。1D IEFプロセスに影響を及ぼす可能性のある塩とイオン性不純物を除去するため、タンパク質沈降キット(ProteoExtract®キット)を用いてソバ粉抽出物をさらに処理しました。クルミは乳鉢ですりつぶし、哺乳類細胞溶解キット(MCL1、Sigma)を用いてタンパク質抽出を行いました。イクラ組織は1M KCl-PBS中でホモジナイズしました。クルミとイクラ抽出物はゲルろ過スピンカラムを用いて脱塩しました。脱塩方法によって、タンパク質サンプルを再水和溶液(8 M尿素、2 Mチオウレア、4%CHAPS、50 mM DTT、0.02% ampholyte)中で溶解させるか、再水和溶液と交換しました。
調製サンプルのタンパク質定量は、BCAまたはBradfordタンパク質アッセイを用いて実施しました。タンパク質分離はインストール済みの標準的なAuto2D®プログラム(「pH3-10NL M」レシピ)、または従来のSDS-PAGEを用いて行いました。考えられうる最も広い分離範囲をカバーするために、1Dおよび2DゲルチップとしてIEFチップpH3-10NLおよびPAGEチップ12.5%を選択しました。電気泳動後に、Auto2D®ゲル中の分離したタンパク質をCoomassie ReadyBlue™染色またはSYPRO™ Ruby Gel染色により染色しました。免疫検出用に別に調製したAuto2D®ゲルをチップから取り外し、ウェット式トランスファー装置(KS8452、Oriental instrument)を用いてImmobilon®-Pブロッティングメンブレンに転写しました。タンパク質を転写したPVDFメンブレンをSuperBlock™ブロッキングPBS緩衝液で1時間ブロッキングしました。患者血清を0.1% BRIJ含有PBSで30倍希釈し、4℃で一晩振とうしてメンブレンと反応させました。メンブレンを上述の希釈緩衝液で洗浄した後、2000倍希釈したアルカリホスファターゼ(AP)標識抗ヒトIgE抗体(SeraCare)を二次抗体として添加し、室温で3時間インキュベートしました。メンブレンを洗浄後にAP反応緩衝液(100 mM Tris-HCl緩衝液、pH 9.5、100 mM NaClおよび5 mM MgCl2含有)で平衡化し、1-component type of BCIP/NBT substrate(SeraCare)と反応させて、ターゲットタンパク質の発色検出を行いました。
図6.クルミタンパク質抽出物の2次元電気泳動およびアレルギー患者血清による免疫検出。クルミタンパク質抽出物をゲルろ過スピンカラム中で脱塩し、再水和溶液で平衡化して、SDS-PAGE(A)およびAuto2D®システム(B、C、D:10 ug)により分離した。IEFチップpH3-10NL、PAGEチップ12.5%およびTris-Glycine試薬キットを使用した。クルミ抽出物中の全タンパク質をAmido Black on membrane(A)、およびSYPRO™ Rubyゲル染色(B)、患者血清を用いた免疫染色(C)および陰性対照として非アレルギー血清(D)を用いて可視化した。
図7.ソバアレルギー患者血清による免疫検出。ProteoExtract®沈降キットで処理したソバタンパク質抽出物を再水和溶液に溶解し、SDS-PAGE(A)およびAuto2D®システム(B、C、D:10 ug)により分離した。IEFチップpH3-10NL、PAGEチップ12.5%およびTris-Glycine試薬キットを使用した。ソバ抽出物中の全タンパク質を Amido Black on membrane(A-1)またはSYPRO™ Ruby reagent in gel (B)により可視化した。患者血清(A-2およびC)および陰性対照として非アレルギー血清(A-3およびD)を用いた免疫検出。
図8.イクラアレルギー患者血清でプローブすることによるアレルギー成分の分離および免疫検出。イクラタンパク質抽出物をゲルろ過スピンカラム中で脱塩し、再水和溶液で平衡化して、SDS-PAGE(A)およびAuto2D®システム(B、C、D)で分離した。IEFチップpH3-10NL、PAGEチップ12.5%、およびTris-Glycine試薬キットを使用した。イクラ抽出物中の全タンパク質をAmido Black on membrane(A-1)またはReadyBlueTM CBB staining reagent in gel(B、35 ug)により可視化した。患者血清(A-2およびC、10 ug)および陰性対照として非アレルギー血清(A-3およびD:10 ug)を用いた免疫検出。15~20 kDa付近のスポット(赤い矢印)は、イクラの重要なアレルゲンであるβ’-成分(2つのサブユニットからなる35 kDaのビデロゲニン分画)と考えられる。
ウェスタンブロッティング画像を全タンパク質検出と比較し、アレルギー血清中のIgEと反応したタンパク質スポットを特定しました。アレルギー成分を特定するためには、通常は重複したスポットをゲルから切り出し、酵素でゲル内消化してペプチドフラグメントを作成し、そのフラグメントを質量分析法により分析します。 2次元電気泳動は優れた分離能を示し、1次元電気泳動で1本のバンドとして現れる複数のタンパク質の存在を示しました。この結果から、IgE反応タンパク質はアレルギー血清を用いた2D免疫検出により、より少ないステップで分離・特定可能であり、質量分析による原因分子の特定がさらに容易になることが示唆されます。
Auto2d® 2-Dを用いた食物アレルギー検査の考察
2次元電気泳動は、アレルギータンパク質の検出・特定に用いられる一般的なタンパク質分離技術です。Auto2D®システムは、この技術により高品質な結果を得るために必要な時間を短くし、技術的専門知識の必要性を減らすように設計されています。今回は、4種類の食品由来タンパク質サンプル中のアレルゲンを検出することにより、アレルギー研究に対するAuto2D®システムの有用性を確認しています。また、ダイズおよびイクラサンプル中の既知の主なアレルゲンに対する1次元SDS-PAGEによる単一バンドから、Auto2D®システムを用いて複数の別々のスポットとして分離することができました。ダイズサンプルでは、既知の重要アレルゲンであるGly m 6の塩基性サブユニット(グリシニン)に対応する18 kDaのバンドから3つのスポットを分離しました9。イクラサンプルでは、やはり既知の重要アレルゲンタンパク質であるβ’-成分(ビデロゲニン)の2つのサブユニットに対応する、16~18 kDaのバンドから、複数のスポットを分離しました10。まとめると、以上の結果から、Auto2D®システムは、アレルゲンの免疫検出において従来の2次元電気泳動に対する迅速かつ信頼のおける代替法として効果的に使用できることが示唆されています。
謝辞:
私たちは、ダイズデータの提供について森山達哉教授(近畿大学農学部)およびクルミ、ソバ、およびイクラのデータの提供について近藤康人教授(藤田医科大学ばんたね病院)に深く感謝いたします。
バイオ医薬品の残留HCP測定
2次元電気泳動は、治療用のタンパク質と抗体のバイオプロセスにおける残留宿主細胞由来タンパク質(HCP)解析にも適します。バイオ医薬品の製造プロセスで混入する残留HCP不純物は、患者の免疫応答を引き起こし、薬効を低下させるおそれがあります。法令遵守においては、HCPをモニタリングし、安全性を確保できる低いレベルまでHCPを除去することが求められています。日本、欧州、および米国の薬局方は、バイオ医薬品製造のためのHCPアッセイの開発およびバリデーションに関するガイドラインを公表しています。
法令遵守のためには、すべてのアッセイ構成品を厳格に適格性認定し、体系的にHCPアッセイを開発しなければなりません。抗体の検証では、2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)により、包括的にHCPカバレッジを確認する必要があります。2D-PAGEなどのゲル電気泳動法は、ポリクローナル抗体産生のための免疫原や標準タンパク質として使用される抗原の特性解析にも推奨される方法です。Auto2D®2次元電気泳動装置は、高度なユーザートレーニングを必要とせず、業界スタンダードに適合するバイオプロセスワークフローへの組み込みが容易です。
ELISAなどのイムノアッセイの抗HCP抗体検証のためのAuto2D®システム
ELISAは、HCP解析において最も一般的なアッセイフォーマットです。このイムノアッセイ法は、残留HCPを幅広く認識するポリクローナル抗体を使用しています。日本と欧州の薬局方では、HCP抗体のカバレッジを評価するために、2次元電気泳動後にウェスタンブロット解析(2-Dウェスタンブロッティング)を行うよう指定しています。米国の薬局方は、抗体カバレッジを評価するために、2-Dウェスタンブロッティングまたはイムノアフィニティ精製後にゲル電気泳動を行うよう指定しています。
図9.市販のCy3標識CHO HCP抗原20 μgを、pH 3-10 IEFチップおよび12.5% PAGEチップを用いて、Auto2D®システムで2次元電気泳動した(A) 。さらに、タンパク質をメンブレンにトランスファーし、2種類の抗HCP抗体を用いてウェスタンブロッティングした(B、C) 。データは、抗HCP抗体2よりも抗HCP抗体1のほうが宿主細胞タンパク質のカバレッジが広いことを示している。
図10.市販のCy5標識CHO HCP抗原0.75 μgを、IEF Chip pH 3-10NLおよびPAGE Chip 12.5%を用いて、Auto2D®システムで2次元電気泳動した。同じサンプルを合計3回測定(A~C) 。白いスポット(D) は結果の重複を表す。データは、Auto2D®システムを用いた2次元電気泳動の高い再現性を示唆している。
Auto2D®システムを用いた抗原プロファイリング
ELISAなどのイムノアッセイのためのポリクローナル抗体を得るには、HCP抗原による免疫が必要です。HCP抗原は、検出と定量のための標準タンパク質としても使用されます。プロセスに特異的なHCP抗原は、非トランスフェクションのnull細胞を用いて生成されます。これらの抗原がHCPのパターンと広範囲のタンパク質の存在を示し、またnull細胞由来のHCP抗原が生産細胞の抗原を代表することを実証するために特性評価を行う必要があります。日本、欧州、および米国の薬局方は、抗原の特性評価およびプロファイリングにSDS-PAGEまたは2次元電気泳動の使用を推奨しています。また、米国の薬局方では、残留HCPモニタリングの補足法としても2次元電気泳動の使用を推奨しています。
図11.Cy3標識未精製CHO HCP抗原とCy5標識Protein A精製CHO HCP抗原の混合液を、Auto2D®システムを用いて蛍光ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)で解析した(A~B) 。マージデータ(C) の赤色のスポットは、Protein A精製後も残留しやすい宿主細胞タンパク質を表す。これらのデータは、Auto2D®システムが精製後に残留している宿主細胞タンパク質成分のプロファイリングに使用できることを実証している。
法令遵守のためのAuto2D®システム
Auto2D®システムは、バイオ医薬品製造におけるHCP解析のための規制要件の適合に役立ちます。この完全自動化システムにより、日差変動やオペレーター間のばらつきが解消され、信頼性の高い結果を2時間以内に得ることができます。Auto2D®システムは、バイオプロセスワークフローへの組み込みが容易で、生産変更に伴うラボのダウンタイムを削減します。外部委託の必要がなく、HCP解析に社内リソースを使用し、知的財産を保護できます。製品やリソースの詳細については、タンパク質電気泳動・ウェスタンブロッティングのページをご覧ください。
参考文献
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