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Prestige Antibodies®オルガネラマーカー

細胞内局在性の研究におけるオルガネラマーカー

細胞内局在性の研究は、タンパク質の特性を明らかにし、その細胞内での機能の理解を深めるために重要です。ヒト細胞株の空間的および時間的なタンパク質発現パターンは、共焦点顕微鏡を用いた観察により、細胞レベルおよびオルガネラレベルで詳細に可視化することができます。特定の抗体の標的となるタンパク質の細胞内分布を評価しやすくするために、種々の細胞内構造、オルガネラを選択的に染色するマーカーを用いることができます。たとえば、Human Protein Atlasプロジェクトでは、小胞体(ER)のマーカーとしてカルレティキュリンを標的とする抗体が選択されました。図1を参照してください。たとえば、共局在解析において自動的にアノテーションをおこなうためには、解析対象のあらゆる細胞内コンパートメントに対するオルガネラ特異的マーカーが必要となります。

細胞内局在性の研究におけるオルガネラマーカー

図1抗HSP90B1(HPA003901)染色は緑色、DAPIによる核の染色は青色で示され、カルレティキュリンを検出する小胞体(ER)マーカーは黄色で示されています。黄色のシグナルが緑色の抗体シグナルと重なることで、ERへの局在が確認できます。

Prestige Antibodies®オルガネラマーカーパネル

Human Protein Atlasプロジェクトとの連携により種々のオルガネラのマーカーが開発され、現在は11種類の細胞内構造を標的とするオルガネラマーカーパネルの最初のドラフトが公開されています。図3および表1を参照してください。

このパネルにおけるオルガネラマーカーの第一の選択基準は、一般に使用される多くのヒト細胞株(A-431、U-251 MG、U-2 OS、HeLaおよびMCF-7など)において高い普遍性をもって特異的に標的を認識できることでした。加えて、より良いマーカーの選択基準として、シグナル/ノイズ比が高いこと、RNA Seqデータに従ってタンパク質RNA発現の同意が得られていること、ウェスタンブロットにおいて期待される分子量サイズのバンドを与えること、および同じタンパク質を標的とする他の抗体の結果に対して陽性の相互関係があることなどが用いられます。

これらのモノクローナル抗体によるオルガネラマーカーは、Prestigeモノクローナル抗体と同じ厳格な条件の下で1つのパネルとして開発され、継続的および安定的供給が保証されています。

本パネルのほとんどのオルガネラマーカーは、図2の抗TUFM抗体の例に示されているように、ウェスタンブロット(WB)および免疫組織染色(IHC)への利用にも推奨されます。

抗TUFM、オルガネラマーカーの例

抗TUFM、オルガネラマーカーの例

図2ミトコンドリアは、ミトコンドリアで特異的に発現するタンパク質であるTUFM(Tu翻訳伸長因子)を標的とする抗体を用いて検出することができます。抗TUFMモノクローナル抗体AMAb90966は、免疫蛍光-免疫細胞染色(IF-ICC)、発色および蛍光免疫組織染色(IHCおよびIF-IHC)、ならびにウェスタンブロット(WB)を含むさまざまなアプリケーションで、特異的なシグナルを呈します。A)AMAb90966によるHeLa細胞株のIF-ICC染色は、ミトコンドリアに高い選択性をもって免疫反応性を示します(緑色)。核は青色(DAPI)で、微小管は赤色で示されています。B)ヒト結腸組織のIHC-IF染色。ミトコンドリア抗TUFM抗体を緑色、原形質膜を青色(抗EZR、AMAb90979、IgG2b)および核を赤色(抗HNRNPC、AMAb91010、IgG2a)で示します。この結果は、サブタイプ特異的な二次抗体を用いて検出することで、サブタイプの異なる3つのマウスモノクローナル抗体を同時に使用できることを示しています。C)抗TUFMの免疫反応を緑色、核を青色で示したヒト皮膚のIHC-IF染色。D)ヒト皮膚およびE)胎盤のIHC染色。F)ヒト細胞株U251 MG(1)、A-431(2)、U-2 OS(3)およびMCF-7(4)のWB解析。

ヒトHeLa細胞株の11種の細胞内オルガネラのIF画像

ヒトHeLa細胞株の各種細胞内オルガネラ

図3マーカーとしてモノクローナル抗体を使用し、緑色を呈する抗体染色を用いた、ヒトHeLa細胞株の11種の細胞内オルガネラを示す免疫蛍光染色画像。微小管および核のプローブは、それぞれ赤色および青色で示されています(該当する場合)。

オルガネラマーカーパネルに含まれるモノクローナル抗体

このオルガネラマーカーパネルは、タンパク質のマッピングを通じて細胞内での役割を明らかにするために重要な、各種細胞内部位を標的とするマウスモノクローナル抗体のパネルであり、目的のタンパク質を染色して細胞内局在を調べる際の参照用として使用することができます。パネルの構成要素は、できる限り多くの細胞株で高いRNA発現率を示すものが選択され、ICC-IFにより最大5つの細胞株でバリデーションされています。これらのほとんどは、IHCとWBへの適用についてもバリデーションされています。パネルの構成要素はすべてPrestige Antibodyブランドに属し、同じ厳格な条件下で開発され、継続的および安定的供給が保証されています。

オルガネラ標的遺伝子の説明製品名カタログ番号バリデーション済みアプリケーションアイソタイプ
核(核小体なし)
Fused in sarcoma
抗FUS
AMAb90549ICC-IF、IHC、WB
IgG1
核(核小体なし)ヘテロ核リボヌクレオタンパク質C(C1/C2)抗HNRNPCAMAb91010ICC-IF、IHC、WBIgG2a
核(核小体なし)ヘテロ核リボヌクレオタンパク質C(C1/C2)抗HNRNPCAMAb91012ICC-IF、IHC、WBIgG1
核(核小体なし)アニリン、アクチン結合タンパク質抗ANLNAMAb90662ICC-IF、IHC、WBIgG1
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ1抗PARP1AMAb90959ICC-IF、IHC、WBIgG1
核小体
MKI67(FHAドメイン)と相互作用する核小体リンタンパク質抗MKI67IPAMAb90961ICC-IF、IHCIgG2a
核小体NOP56リボ核タンパク質ホモログ抗NOP56AMAb91013ICC-IF、IHC、WBIgG1
核膜エメリン抗EMDAMAb90562ICC-IF、IHC、WBIgG1
ゴルジ装置ゴルジ再集合スタッキングタンパク質2抗GORASP2AMAb91016ICC-IF、IHC、WBIgG2b
小胞体タンパク質ジスルフィドイソメラーゼファミリーA抗PDIA3AMAb90988ICC-IF、IHC、WBIgG1
ミトコンドリア
Tu翻訳伸長因子、ミトコンドリア抗TUFMAMAb90964ICC-IF、IHC、WBIgG1
ミトコンドリアTu翻訳伸長因子、ミトコンドリア抗TUFMAMAb90965ICC-IF、IHC、WBIgG2a
ミトコンドリアTu翻訳伸長因子、ミトコンドリア抗TUFMAMAb90966ICC-IF、IHC、WBIgG1λ
ミトコンドリアクエン酸合成酵素抗CS
AMAb91005ICC-IF、IHC、WBIgG1
ミトコンドリアクエン酸合成酵素抗CSAMAb91007ICC-IF、IHC、WBIgG1
ミトコンドリアクエン酸合成酵素抗CSAMAb91009ICC-IF、IHC、WBIgG1
ペルオキシソームATP結合カセット、サブファミリーD(ALD)、メンバー3抗ABCD3AMAb90995ICC-IF、IHC
IgG1
エンドソーム液胞タンパク質ソーティング26ホモログA
抗VPS26A
AMAb90967ICC-IF、IHC、WBIgG1
原形質膜エズリン抗EZRAMAb90976ICC-IF、IHC、WBIgG1
接着斑ザイキシン抗ZYXAMAb90992ICC-IF、IHCIgG2b
表1オルガネラマーカーパネルに含まれるモノクローナル抗体の説明

Human Protein Atlasプロジェクトについて

Human Protein Atlasプロジェクトは、Mathias Uhlén教授が率いるスウェーデンの研究グループによって2003年に始められ、KnutおよびAlice Wallenberg基金から資金提供を受けました。これは、抗体を用いたヒトプロテオームの体系的調査の実施で世界をリードするユニークな取り組みです。Human Protein Atlasは現在、人体におけるすべての主要な器官と細胞におけるタンパク質発現の完全なマップを提供することができます。

Human Protein Atlasプロジェクトは、全ヒトプロテオームの発現マップを作り上げました。これを達成するために、ヒト遺伝子をコードするすべてのタンパク質に対して高度に特異的な高品質の抗体が開発され、多くの組織や細胞のタンパク質プロファイリングが組織アレイを用いて確立されています。発現データは、アプリケーションに固有のバリデーションから得られています。適用されるアプリケーションには、免疫組織染色、ウェスタンブロッティング、タンパク質アレイ、および共焦点免疫蛍光顕微鏡法があります。

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