Human Protein Atlasプロジェクトは、2015年にヒト組織におけるヒトプロテオーム発現の完全なマップを提示しました。Tissue AtlasおよびCancer Atlasには、17,500のPrestige Antibodies®のデータが含まれています。
Human Protein Atlasに新しく追加されたのはCell Atlasです。これは、抗体を使ってICC-IFをおこなう研究をはじめ、一般的な細胞生物学研究に広く役立つ情報を提供する優れたツールです。Cell Atlasには、10,000を超えるPrestige Antibodies®のデータがあります。
細胞内部の生物学的過程は、すべての生命の基本です。したがって、生細胞のメカニズムの理解を深めるには、細胞内タンパク質の細胞内局在を見極めることが重要です。オルガネラが異なれば、異なる生理学的条件、構成要素、および相互作用パートナーなどの違いが生じ、これによってタンパク質の機能が決まります。
Human Protein AtlasのCell Atlasの部分では、ヒト細胞におけるタンパク質の空間的分布が可視化されています。各タンパク質には、複数のヒト細胞株における標的特異的抗体による免疫蛍光染色画像、アノテーション付き細胞内部位、および大量の細胞株における標的遺伝子RNA発現のデータが付随します。これらのタンパク質の多くには、siRNAノックダウン解析、GFP共局在解析および細胞周期依存性解析などの各種バリデーションアッセイの結果も付随します。
Cell AtlasのサイクリンB1に関する情報の部分を示す、Human Protein Atlasから得られたスクリーンショット。サイクリンB1は細胞のCytosol内に局在する。
Cell Atlasは、次の4つの章に分かれており、ヒト細胞プロテオームの解析に必要な知識を提供します。
各章には、タンパク質発現パターンの説明と考察、プロテオームで発現するタンパク質の一覧表に加えて、細胞内空間分布パターンを説明する詳細な画像の例が記載されています。
画像提供:Human Protein Atlas
Cell Atlasでは、細胞株の高解像度4色カラー画像を取得するために共焦点顕微鏡を使用しています。マルチカラー画像には、特定の抗体とともに以下のような異なるチャンネルとしての3種類のオルガネラマーカーが表示されます。
- 緑色:抗体による染色
- 青色:核
- 赤色:微小管
- 黄色:ER
高解像度画像上のボタンを用いると、各チャンネルのオン/オフを切り替えることができます。
U-2 OS細胞株の免疫蛍光染色画像。抗体HPA030741(抗CCNB1)は緑色、核は青色、微小管は赤色で染色されます。右側の画像では、抗体による染色を示す緑色のチャンネルのみがオンになっています。
Cell Atlasの画像は細胞単位での解析が可能なため、細胞ごとのタンパク質発現パターンの違いを調べることができます。細胞は細胞周期を同期せずに培養されているため、細胞ごとの発現量の違いは細胞周期の影響によるものが多いと考えられます。
Human Protein Atlasで開発されたCell Atlas、Tissue AtlasおよびCancer Atlasで構成されるすべての抗体は、メルクのPrestige Antibodies®で利用できます。
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