Human Protein Atlasは、細胞、組織および臓器内におけるすべてのヒトタンパク質をマッピングし、この情報をオープンアクセス形式で提供してヒト生物学および疾患の理解を深めることを目的として2003年に創設されました。Tissue Atlas、Cell Atlas、およびPathology Atlasの3つのサブアトラスに分けられています。このプログラムでは、高感度で高い特異性を有する抗体に基づいて、タンパク質発現を正確に推定します。Human Protein Atlasで使用されている抗体はすべて、慎重に厳選されたサンプルに対してウェスタンブロッティング、免疫組織染色、および免疫蛍光染色による評価を行うなど、厳密なバリデーションプロセスを経ています。Atlas Antibodies社との提携により、私たちが販売しているPrestige Antibodies®は、Human Protein Atlasのデータに裏付けされており、最も特性が明らかな一次抗体です。
Human Protein Atlasの3つのサブアトラス
Tissue Atlas
ターゲット組織の高品質な染色データを検討して、厳密にバリデートされた抗体を選択することができます
Tissue Atlasには、さまざまな組織内のヒト遺伝子発現プロファイルに関するタンパク質およびmRNAレベルの情報が含まれています。タンパク質発現データは、44の正常ヒト組織型に対応する76の細胞型の免疫組織染色分析に基づいたデータであり、mRNA発現データは37の正常組織型のRNAディープシーケンシング(RNA-Seq)から得られたものです。これらの情報は特定遺伝子を検索することによって容易に調べることができます。例えば、PAX8タンパク質は甲状腺および腎臓などの組織で発現し、mRNAレベルではこれらの同組織で高い発現が認められます。
Tissue Atlasでは、特定の遺伝子についての検索に加えて、特定のヒト組織を検索することも可能です。このような検索によって、どの遺伝子がその組織内でタンパク質発現を増加させているのか、またこの発現が特定領域に限定されるかどうかなどの貴重な情報を得ることができます。例えば、他の組織と比較して、130の遺伝子が乳房組織において発現増加を示し、抗体ベースのプロファイリングを用いたこれらの遺伝子の詳細な解析により、コードされているタンパク質のいくつかは授乳中の乳腺で高発現することが明らかになっています。
Cell Atlas
細胞レベルでの染色データを検討して、ターゲットとなる細胞と関連する抗体を特定することができます
Cell Atlasは、64の細胞株から成るパネル内に存在するタンパク質の空間分布に関する情報を提供します。細胞株は種々の人体器官のさまざまな細胞集団のうちで代表的なものが選択されています。タンパク質の発現データは、免疫蛍光顕微鏡法から得られたものであり、mRNA発現データはRNAディープシーケンシングから得られたものです。これらの細胞株の一部では、さらに詳細な調査が行われており、細胞内タンパク質分布データは、33の細胞小器官および微細細胞構造に分類されています。これらの情報は特定の遺伝子を検索することによって調べることができます。例えば、免疫細胞染色分析によって、PAX8タンパク質は核質に局在していることが明らかになっており、表現型が類似する器官ごとに細胞株を分類してから完全解析したmRNA発現データから、腎臓および乳房のような組織に高発現していることが明らかになっています。
Cell Atlasでは、特定の遺伝子についての検索に加えて、さまざまな細胞株および細胞小器官をより詳細に調べることも可能です。Human Protein Atlasでは、このような情報を次のような項目を含むさまざまなデータセットにまとめています:
- 細胞株トランスクリプトーム – 64の細胞株のトランスクリプトームの解析から、特定の細胞株で高発現する遺伝子が明らかになっており、これらの遺伝子は細胞株で発現するが、対応する正常組織では発現しないことが明らかになっています
- 細胞小器官プロテオーム – 細胞内タンパク質の局在性に関する包括的な情報
- 複数箇所に局在するプロテオーム – 複数の細胞小器官に局在するタンパク質の同定
- 細胞周期依存性プロテオーム – 遺伝学的に同一の細胞であり、同じクローン集団由来であっても、細胞ごとにタンパク質の発現パターンが異なることが明らかになっています
Pathology Atlas
正常な組織とがん組織ではタンパク質発現がどのように異なるのかを明らかにすることができます
Pathology Atlasには、最もよく認められるヒトがんのタンパク質発現データとmRNAデータが含まれています。Human Protein Atlasは、がん組織におけるヒト遺伝子のmRNA発現量を、それに対応する約8000例のがん患者の臨床成績と相関させています。これらの遺伝子の多くに対して、相当するタンパク質の免疫組織染色分析が実施されています。Pathology Atlasでは、研究者は各がん型の個々の腫瘍についてタンパク質発現量を調べることができます。例えば、PAX8の染色は甲状腺がん、卵巣がん、および子宮内膜がんの組織で上昇しています。
Atlas Antibodies社のPrestige Antibodies®
Atlas Antibodies社のPrestige Antibodies®は、Human Protein Atlasのデータに裏付けされており、最も特性が明らかな一次抗体です。私たちは40,000を超えるPrestige Antibodies® を取り揃えているため、きっと研究者の皆様が必要とする、免疫染色の成功を保証する製品が見つかると思います。
免疫組織染色、免疫細胞染色、ウェスタンブロッティングによるバリデーションデータを個々の製品ページに示すとともに、Human Protein Atlas websiteの関連セクションのリンクも示します。
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