自己組織化・コンタクトプリンティング
分子自己組織化
分子自己組織化(MSA:molecular self-assembly)とは、外的要因からの制御を受けずに、分子自身で自然に組織や構造を構築することです。自己組織化は自然界で自発的に生じる現象で、その一例として、細胞を取り囲む脂質二分子膜の自己組織化があります。分子間力を正確かつ精密に利用することによって、以前は実現できなかった新しいナノ構造が得られます。
自己組織化では、最終的な(目的とする)構造は、用いる分子の形状および特性に「符号化」されています。自己組織化単分子層(SAM:self-assembled monolayer)は、反対に帯電した高分子電解質間の静電相互作用や、チオールと金表面間またはホスホン酸と酸化物表面間の親和性など、特定の種類の有機分子の間の比較的弱い分子間相互作用を組織化の駆動力として利用します。
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チオール・金表面
アルカンチオール類を金表面上で組織化させるドライビングフォースは複数あります。硫黄と金の間の強い相互作用(約45 kcal/mol)により、単分子層を形成する分子が表面に比較的強く結合することに加えて、アルキルチオール分子の炭素原子と水素原子の間の疎水性相互作用も(特にアルキル鎖の炭素数が10以上の場合)、全体的な表面エネルギーを著しく低下させます。
ソフトリソグラフィから化学的、生物学的検出にいたる多種多様な自己組織化の用途に向けた各種高純度のチオール材料を、下記のカテゴリにて提供しています。
- アルキルチオール(-CH3末端)
- 官能基化チオール
- ジチオール
- 環状チオール
- 保護チオール
ホスホン酸・酸化物表面
リン酸基またはホスホン酸基を導入することで、SAMの調製に使用する基板の選択肢を広げることが可能です。極性の酸性分子は、多様な金属酸化物表面(Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、TiO2など)と相互作用し、金表面上のアルキルチオールSAMの場合と同程度の秩序を持つ膜を形成できます。
ナノインプリント・リソグラフィ
ナノインプリント・リソグラフィ(NIL:nanoimprint lithography)は、熱可塑性ポリマー薄膜に、表面に微細なパターンが形成された硬いマスターをプレスし、Tg付近(通常はそれ以上)に加熱することにより、硬質ポリマーにマイクロ構造やナノ構造を作製する技術です。高スループット処理の可能性を持ち、高価で複雑な機器を必要とせず、ナノスケールのデータストレージが可能になります。
インプリントやその後のエッチング工程を最適化するため、ポリメタクリル酸メチル(PMMA:poly(methyl methacrylate))やその他の熱可塑性、熱硬化性ポリマーであるポリジメチルシロキサン(PDMS:polydimethylsiloxane)、ポリフタルアルデヒドなどのようなナノインプリント材料を提供しています。
ソフトリソグラフィ
ソフトリソグラフィは、「柔らかい」エラストマーのマイクロモールディングやエンボス加工を利用して、構造体を作製または複製する技術です。マイクロコンタクトプリンティング(µCP:microcontact printing)では、ポリジメチルシロキサン(PDMS) エラストマーのスタンプが基板に均一に接触した後、スタンプから材料の単層がプリントされます。リソグラフィで作製したマスターに対してポリマーを硬化させることで、PDMSにサブミクロンの表面レリーフ構造を簡単に導入することが可能です。µCPの利点は、サブミクロンのレベルで化学的に表面をパターン化できることです。エラストマースタンプに低分子(チオールまたはシラン)のインクをつけ、清浄な基板(金またはシリコンウエハ)にプレスします。スタンプが表面に接触している部分では、材料の単層が基板に転写されます。次に、第2のチオールまたはシランを使って背景を埋め、化学的にパターン形成された表面が形成されます。
Sigma-Aldrich®では、精密なマイクロパターニングやナノパターニングのための、一連のシラン、チオールおよびPDMS材料を取り揃えています。
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