RAFT剤を用いた典型的な重合反応例
はじめに
RAFT重合はリビングラジカル重合の一種であり、置換モノマーに対する従来型のフリーラジカル重合を適切な連鎖移動(RAFT)剤存在下で行うものです。適したRAFT剤と重合条件を用いることで、分子量分布が狭く、多様な機能性を持ったポリマーの合成が可能です。RAFT法の詳細な説明とその利点については、CSIROの研究者らによる総説をご覧ください。
試薬
使用したRAFT剤(カッコ内は製品番号)
- 2-Cyano-2-propyl benzodithioate (722987)
- 4-Cyano-4-[(dodecylsulfanylthiocarbonyl)sulfanyl]pentanoic acid (723274)
- Cyanomethyl methyl(phenyl) carbamodithioate (723002)
- 4-Cyano-4-(phenylcarbonothioylthio) pentanoic acid (722995)
- 2-Cyano-2-propyl dodecyl trithiocarbonate (723037)
- 2-(Dodecylthiocarbonothioylthio)-2-methylpropionic acid (723010)
- Cyanomethyl dodecyl trithiocarbonate (723029)
保存法/安定性
- 723274:-20℃で密封して保存してください。光に対して不安定です。
- 722995、723037:2~8℃で密封して保存してください。
- 722987、723002、723010、723029:2-8℃で密封して保存してください。光に対して不安定です。
注意:危険性や安全な取り扱いに関する情報は製品安全データーシート(SDS)をご覧ください。
RAFT重合の方法
- メタクリル酸メチルの重合:モノマー:メタクリル酸メチル(MMA、製品番号:M55909)、開始剤:AIBN(製品番号:01-7220)、RAFT剤(製品番号:722987もしくは722974)を用いました。その重合結果を表1に示します。
- メタクリル酸メチル(15 mL、0.14 mol)とAIBN(20.1 mg、0.122 mmol)のベンゼン溶液(5 ml)を調製します。
- 上記の溶液2 mLを、RAFT剤:722987(12.3 mg、0.056 mmol)もしくは723274(22.5 mg、0.056 mmol)を入れたアンプルに加えます。注意:封管の代わりにシュレンク管(製品番号:Z515981)のような他の嫌気条件下での反応に適した反応容器を用いることもできます。
- アンプル内を3回の凍結-減圧-解凍サイクル(0.05 mmHg)により脱気し、減圧下で封管します。
- この封管をオイルバス中(60℃)で15時間加熱して重合を行います。
- 酢酸ビニル(2.0 mL、23.23 mmol)、AIBN(2.0 mg、0.012 mmol)およびRAFT剤:723002(26.64 mg、0.12 mmol)をアンプル中に加えます。注意:封管の代わりにシュレンク管(製品番号:Z515981)のような他の嫌気条件下での反応に適した反応容器を用いることもできます。
- アンプル内を3回の凍結-減圧-解凍サイクル(0.05 mmHg)により脱気し、減圧下で封管します。
- この封管をオイルバス中(60℃)で16時間加熱して重合を行います。
CSIROの研究者がシグマアルドリッチのRAFT剤を用いて酢酸ビニルの重合を行った結果を表2と図1に示します。
図1RAFT剤:723002を用いて16時間重合して得られたポリ酢酸ビニルのGPC測定結果
RAFT重合については「精密ラジカル重合ガイドブック」もご覧ください。
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